ムッとして、カホの顔を見る。
と、口の横に、クリームがついていた。
そのバカっぽい顔に、出かけた声を失った。
「しいなちゃん、いい子だよう。大事にしてあげなよ。
ずっとアマリさんのコト気にしてさあ。
何度も何度も、孜郎様にはアマリ様のことは言わないでくださいって。
アマリ様にご迷惑がかかることだけはしたくありませんって言うんだよ。
健気だよねえ。私さあ。ちょっと嘘ついたこと、悪かったなあって思って。
一応、アマリさんには言っておくから」
「何を、ですか?」
「あれ、嘘なの。美濃家から使用人を捜してくれって言われたって話し。
ホントは、美樹本家から家出したバカ息子を捜してくれって言われてて、
あ、これは内々の話だから誰にも言っちゃダメだよ、で、今、師団全体で
見回りの時に探してるんだよね。んで、今日もこうして、いつもは寄らない
ショッピングセンターに足を運んで、そのバカ息子が立ち寄ってないかどうかを
聞き込みしてたってわけ。そこで出会ったのが、バカ息子とはほど遠いくらいにデブの
眼帯マニアな変態男で、それに狙われていたしいなちゃんとその檀那様だったの」
「はあ・・・そうだったんですか・・・」
「そうなんだよう。だから、ごめんねえ。しいなちゃんの手に隠標が見えたから
美濃家の使用人が狙われたなんてヤバイことだなあって思ってさ。
で、しいなちゃんがアマリ様とご一緒ですって言うから、てっきり美濃家のバカ息子の
さらに息子か何かなのかと思って、一応挨拶しておこうかと思って一緒に
戻ってきたんだけど、でも、違ったんだよね。誰でもなかった。
ま、誰でもないってコトはないよね。しいなちゃんの大切な檀那様なんだから」
「・・・大切かどうかは、分かりませんが」
「大切だよう。アマリさんには分かんないだろうけど、使用人にとって主人というのは、
何にも代え難い存在だからね。主人がいて初めて、使用人は使用人としての意味を
持つんだから。主人がいなきゃ、使用人は存在しないんだよ」
「はあ・・・まあ、確かに・・・」
「だから、しいなちゃんにとっては大切な人でしょ。だから、あんなに必死になって
弁明してたんじゃん?言わなくてもいいようなことを言ってさ。普通は恥ずかしくて
言えないよう。暇を言い渡されて屋敷を追い出された、なんて。
正直だねえ。それまでして、アマリさんを守りたかったんだよ。分かってあげなよ。
そういう、健気なトコとか」
「・・・はあ」
「あとさあ。しいなちゃんはしいなちゃんなんだから、比べちゃダメだよ」
「え?」
「使用人って言う殻が壊れない限り、しいなちゃんは、不自由なんだよ」
「不自由?」
と、口の横に、クリームがついていた。
そのバカっぽい顔に、出かけた声を失った。
「しいなちゃん、いい子だよう。大事にしてあげなよ。
ずっとアマリさんのコト気にしてさあ。
何度も何度も、孜郎様にはアマリ様のことは言わないでくださいって。
アマリ様にご迷惑がかかることだけはしたくありませんって言うんだよ。
健気だよねえ。私さあ。ちょっと嘘ついたこと、悪かったなあって思って。
一応、アマリさんには言っておくから」
「何を、ですか?」
「あれ、嘘なの。美濃家から使用人を捜してくれって言われたって話し。
ホントは、美樹本家から家出したバカ息子を捜してくれって言われてて、
あ、これは内々の話だから誰にも言っちゃダメだよ、で、今、師団全体で
見回りの時に探してるんだよね。んで、今日もこうして、いつもは寄らない
ショッピングセンターに足を運んで、そのバカ息子が立ち寄ってないかどうかを
聞き込みしてたってわけ。そこで出会ったのが、バカ息子とはほど遠いくらいにデブの
眼帯マニアな変態男で、それに狙われていたしいなちゃんとその檀那様だったの」
「はあ・・・そうだったんですか・・・」
「そうなんだよう。だから、ごめんねえ。しいなちゃんの手に隠標が見えたから
美濃家の使用人が狙われたなんてヤバイことだなあって思ってさ。
で、しいなちゃんがアマリ様とご一緒ですって言うから、てっきり美濃家のバカ息子の
さらに息子か何かなのかと思って、一応挨拶しておこうかと思って一緒に
戻ってきたんだけど、でも、違ったんだよね。誰でもなかった。
ま、誰でもないってコトはないよね。しいなちゃんの大切な檀那様なんだから」
「・・・大切かどうかは、分かりませんが」
「大切だよう。アマリさんには分かんないだろうけど、使用人にとって主人というのは、
何にも代え難い存在だからね。主人がいて初めて、使用人は使用人としての意味を
持つんだから。主人がいなきゃ、使用人は存在しないんだよ」
「はあ・・・まあ、確かに・・・」
「だから、しいなちゃんにとっては大切な人でしょ。だから、あんなに必死になって
弁明してたんじゃん?言わなくてもいいようなことを言ってさ。普通は恥ずかしくて
言えないよう。暇を言い渡されて屋敷を追い出された、なんて。
正直だねえ。それまでして、アマリさんを守りたかったんだよ。分かってあげなよ。
そういう、健気なトコとか」
「・・・はあ」
「あとさあ。しいなちゃんはしいなちゃんなんだから、比べちゃダメだよ」
「え?」
「使用人って言う殻が壊れない限り、しいなちゃんは、不自由なんだよ」
「不自由?」