四節 ・12

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と、リキが、不可思議な表情を作った。

「逆に、何も言わずに人に傅いている奴の方が気味が悪ぃ」
「そう、ですか?」
「何を考えているか分からねえだろ?」
「確かに、そうですね」
「うちにいるんだ。そう言う奴が一人。胸くそ悪い男がな」
「はあ・・・」

レジを通る。
店員は業務支援用アンドロイドで、手際よくカートの中の商品をスキャンしていく。

「あの娘も、同じだぞ」
「え?」
「黙って一緒にいるだけなら、あの娘は何も話さない。
お前さんの顔色ばかり見ているだろう。お前さんの望むとおりに動いて、
当たり障りのないことを話して、機嫌を損ねないようにと気を遣う」
「・・・」
「貴族に奉公に入った使用人なんて言うのは、ほとんどがそういう教育を受ける。
聞いただろう?自分は死ぬまで美濃孜郎の所有物だと。人という認識じゃない。
物、なんだ。こうしてカートに入っている商品と同じだ。貴族に奉公に入った使用人達が
重宝がられるのは、物であるが故に自己を主張することがなく、扱いやすいからだ。
何より優先するのが主人の願いを叶え、望み通りに言動することで、それが己の願いになる。
そして、主人と使用人の間に、情はない。欲しても得られないことは最初に叩き込まれる。
使用人は、主人に対して、ただ至情と感謝のみを持って仕えろと言われる。
人間ではない、ただの物である使用人に、それ以外の感情は不要だとな。
飽きられれば捨てられる。用済みになったら捨てられる。あの娘の言葉を引用するなら、
役に立たなくなれば捨てられる。それが一度でも貴族の所有物になった人間の常識だ。
あの娘は、それが徹底している。異常なくらいにな。かなり長い間仕えてきたんだろう。
聞いていて背筋が寒くなるくらいの偏愛ぶりだった。あれでは・・・もたないだろうな」

精算を済ませて、シイナ達がいるフードコートの方へ向かう。
商品の入った大きな紙袋は、予想に反して4袋にもなっていた。

「リキ!」
「おう。買ってきてやったぞ」
「うん。ありがと」

カホが満面の笑顔でリキを迎える。なんの躊躇いもなく、リキはカホの隣りに座った。
そして、カホが差し出した食べかけのクレープを、その手から食べている。
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