妄想を文字にしてみました。

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「マコちゃん」
「なんだよ」
「胸、気持ちいい?」
「はああ?」
「うふふふふ。胸、背中に当たるでしょ?」
「あ、あたんねえよ。お前、胸なんてあるのかよ?」
「あるよう。失礼だなあ」
「いーや、ないね。全然あたってねえから」
「えー?あるって。一応ブラだってつけてんだよ」
「つけてるから胸があるってことじゃねえだろ」
「そうかなあ?ちゃんと手の中に収まるんだよ」
「そんなんじゃあるうちに入らねえよ。
胸があるって言うのは、クミやサチぐらいの大きさだ」
「うわー・・・マコちゃん、巨乳好き?」
「ああ、そうだよ。俺は巨乳が好きなんだ。悪いか?」
「やっぱ、何?パイズリとかしてもらいたいから?」
「はあっ?お前、どっからそんな言葉覚えてくるんだよ」
「えー?リキがそう言ってたよ。男はみんなパイズリされるのが好きだから
カホも胸デカくならねえとなーって」
「・・・ろくな言葉を教えてねえんだな」
「ねえねえ、マコちゃん」
「なんだよ」
「巨乳の彼女、紹介しようか?」
「お前は美人局か。いらねえよ、そんなもん」
「なんでー?あみちゃん、可愛いのにー」
「どこのあみちゃんだよ?ニューハーフだろ、どうせ」
「あ、なんで分ったの?すごいね、マコちゃん。エスパー?そうなのう。
あみちゃん、今彼氏募集中でねえ。すっごい可愛いよー。
で、クミぐらいの巨乳なの」
「そうかよ。全然興味ないな」
「なーんだー・・・つまんなーい」

そして、こんなにガサツだ。
本当に女なのか、こいつは。普通はこんな話しはしないだろう。
彼氏でもなんでもない男に向かって、巨乳好き?って聞くか?
ありえない。ありえなさすぎる、バカさ加減だ。

「ねえねえ、マコちゃん」
「なんだよ」
「ゆみちゃんの方が好み?」
「だーかーらー。ニューハーフに興味はねえって。
っつーか、ゆみちゃんなんて、俺は会ったことないから」
「あ、そうだったー。ごめんごめーん」

あはははは、と、俺の耳元で笑う。
首筋にその息がかかる。

思えば、こうして誰かを背負って歩くのは久し振りかもしれない。
あの時以来だ。
あの時も、たしかこんな風に駄々をこねられたような気がする。
たいしたことがないくせに、大騒ぎして泣き真似までされて。
そして、やっぱり嘘だと分かっているのに、俺は背負ってやったんだ。
仕方ないな、と言って。

「は・・・変わってねえな」

思わず、声が出た。

「ん?どうかしたの?マコちゃん」
「別に」
「あー、やっぱり胸が気持ちいいんだぁ」
「んなわけあるか」
「何よう。正直者にはご託が当たるんだよ」
「は?何だよ、それは。全然違うだろ」
「違わないよー。正直者には胸が当たるんだよ」
「さっきとも違うだろ!つーか、いいかげん胸から離れろよ。振り落とすぞ」
「あははははーっ。マコちゃんが照れてるよー」

カホの笑い声が、響く。
頬に当たる、感触。
背中にある、重さ。

「・・・バカか、お前は」

そう言いながらも、どうしてか笑みがこぼれてしまった。
階段を下りる足は、もう、苦ではなくなっていた。