妄想を文字にしてみました。

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今までは、そんな風に思うことはなかった。
隊長として部下に対して言葉をかけるのは、当然だと思っていた。
それが、どんなに些末なことでも、だ。

「ねえ、マコちゃん」
「今度は何だよ」
「アビーってどんなの?」
「え?ああ、使ったこと無いのか」
「うん。ここには無いから」
「そうだな。どんなの、と聞かれても、答えようがないな。
普通の模擬訓練装置だってしか・・・」
「ふうん。普通なんだ」
「何を基準に普通というのかは分らないが、普通だと思う」
「えへへ」
「なんだよ」
「マコちゃんが困ってるなあ、って思っただけ」
「はあ?」
「普通って難しいよね。だって、その人によって普通って感覚が違うから」
「・・・そうだな」
「私の普通とマコちゃんの普通は、違うでしょ?」

振り向くと、カホが笑っていた。
ギクリ、とした。
ここが何階かをとっさに確認した。

「な、なあ」
「はい?」
「昨日お前が言っていた妖怪ネズミは――」
「ダジー?」
「美少女戦士でも倒せないのか?」
「・・・なんで?」
「猫とネズミだろう。猫の方が強いじゃないか。
だったら、美少女戦士カホニャンなら倒せるかもしれない」
「・・・あー・・・そうかあ」
「そうさ」
「そうだよねえ」

カホが考えるような顔をした。
俺はすぐに階段に向き直った。

今のうちに、さっさと9階まで下りてしまおう。
別にダジーを信じているわけではないが、昨日の今日だ。
またこいつが何かしでかしてくるかもしれない。
そうでなければ、思い出すわけがないんだ。
ここの中でまで、子供の悪戯に付合うことはない。

カホを置いていくように、急ぎ足で12階の踊り場を抜ける。
段飛ばしで下りた。
青光に照らされている階段。
11階の表示。